日経朝刊小説 ふりさけ見れば 完 2023年 じき啓蟄

2023年2月28日(火)

素晴らしい小説だった。

最後から2話、3話は、朝読んで泣いた。

 

 

あらすじ

遣唐使阿倍仲麻呂は唐の官僚登用試験の科挙に合格し、異国の地で出世を果たしていた。家庭にも恵まれ、妻の張若晴(ちょうじゃくせい)との間に翼(つばさ)と翔(かける)という双子の男児をもうけ幸せに暮らしていたが、天皇に仕えるという使命を果たすため、16年ぶりにやってきた遣唐使船での帰国を決意する。帰国の時が迫る中、遣唐使の同期である井真成(いのまなり)の死体が見つかる。不審に思った仲麻呂は同じく遣唐使の同期である吉備真備(きびのまきび)とともに真相の究明に動きだすが、そのさなか、日本国の歴史の正統性を担保するための文書を入手するためのスパイになるようにとの密命が下り、唐に残ることを余儀なくされる。

仲麻呂と別れ、日本に帰国した真備は天皇を差し置いて権勢を振るう藤原氏の牙城を崩すべく奮闘する。疫病の大規模な流行で都が壊滅的な被害を受ける中、国を立て直すべく天皇が目指す仏教中心の国家作りに奔走する真備だったが、藤原氏の策略にはまり、政争に敗れてしまう。太宰府に左遷された真備だったが、新たに遣唐使が派遣されることを知り、日本に仏教を広めるカギとなる鑑真上人を招聘すべく、再び遣唐使として唐に渡る。

唐に残った仲麻呂は密命を果たすべく、朝廷内で出世の機会をうかがっていた。長年連れ添った若晴とも別れ、手段を選ばず政敵を追い落とし出世の階段を駆け上がる。念願の役職、秘書監の座についた仲麻呂は目的である府庫の「魏略」にたどり着き、真備ら遣唐使一行と、鑑真上人を連れて帰国の途につく。しかし、仲麻呂らを乗せた船は遭難。なんとか唐に戻った仲麻呂だったが、政局は安禄山の乱で混乱をきわめていた。激しい攻防の末に官軍を圧倒した安禄山軍がついに都に迫り、玄宗長安を脱出することを決める。仲麻呂玄宗を警固するために近侍することになった。

 

 

 

 

これが私が一番泣けたシーン

ラスト3話目 中央の3行